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■地域ブランド構築法

第2回:ブランドを作る

  前回は「ブランドとは何か?」について説明しましたが、今回はそのブランドについての取り組みの一つである「ブランドを作る」(ブランド構築)について説明をします。

「ブランドを作る」という作業は、その内容によって、(1)新しいブランドを構築する、(2)既存ブランドのイメージをよくする、(3)ロイヤルカスタマーを作る、の三つに分けることができます。

(1)新しいブランドを構築する

最近、「地域ブランド」がブームになっているようで、地方自治体の関係者などから、都道府県名や市町村名、あるいはその地域名を冠にした「○○ブランドを一流のブランドにしたいのですが」という相談が持ちかけられます。

しかし、たとえば「松坂牛」や「越前がに」などは、今の高いブランドとして評価されるまでに、実に長い年月と努力が必要だったはずです。他の地域の牛肉やカニとは違う「特徴」を確立できたからこそ、地名もブランドになり得たのです。

そのように、ブランドとは他のものと比べて「差別的優位性」があるからブランドなのであって、何ら優位性がなければ単なる「名前」でしかないのです。「地域名をブランドにしたい」と言って、すぐにブランドが作れるほど甘くはありません。

「新しいブランドを作りたい」と考えたら、まず最初にするべきことは、そのブランドの明確なコンセプトを作る、しかも他に類似のものがなく、しかも特徴がわかりやすいコンセプトを作ることです。

ただし、「品質のよい商品を作る」などというのは特徴にはなりません。なぜなら、それはすべてのブランドに共通する目標であって、「差別的優位性」にはなり得ないのですから。

成功した農産物ブランドとして名高いものに「博多万能ねぎ」があります。

福岡県朝倉町で栽培されていた青葉ネギは、首都圏への出荷を本格的に始めるに当たり、当時関東で主流だった白ネギ(長ネギ)に対抗するための新たなイメージ作りが必要でした。そこで考えられたのは、「収穫したばかりの新鮮さ」というキーワードでした。そして、そのシンボルとして「空輸」を前面に押し出したのです。

かさばるネギを航空便で運ぶのは、一見無謀な計画のようです。しかし、誰もやっていないからこそ「新鮮」のイメージが強調されます。さらに、流通で扱いやすいように1束100gごとに小分けし、それを商品名をデザインしたフイルムで包装したのです。

消費者にとっては買いやすく、流通には扱いやすい。白ネギにはない新たなメリットによって、「博多万能ねぎ」は全く新しい商品コンセプトとして受け入れられました。

しかも、フイルムに印刷された名前が店頭で露出され、家庭まで持ち帰ることで、消費者や流通の担当者の頭の中に「博多万能ねぎ」の名前が強力にインプットされました。

もちろん、個包装のネギを発泡スチロールの容器に入れて、低温輸送するという徹底的な品質管理への評価も高い。こうした戦略で「博多万能ねぎ」のブランドは一気に定着し、大ヒット商品となったのです。

このように、新しいブランドを作り出すには、他のブランドにはないコンセプトを打ち出すことと、それを実現するための徹底した品質管理を行うことが重要です。

(2) 既存ブランドのイメージをよくする

イメージアップというのは、ただ漠然とやっていたのではなかなか効果が表れるものではありません。イメージを高めるために最初にすべきことは、そのブランドがどのようなイメージを持たれているかを、正確につかむことです。

ただ多くの場合、関係者が考えているそのブランドのイメージとは、消費者ではなく、関係者自身による「思い込み」に過ぎないものです。

ですから、消費者が抱いているイメージや評価を正確に把握し、他ブランドと比べてどんなイメージが弱いのかを調べることから始めなければいけません。

消費者にその商品が購入されにくいという現象があれば、その購入の妨げになっている原因(阻害要因)を探ります。この原因が明確になれば、それを解消(克服)すれば販売量は伸びるはずです。

「ブランド戦略は課題が見つかれば、半分が達成できたと同じ」とよく言われまる。それは、こうした理由からです。

(3)ロイヤルカスタマーを作る

ブランドを作るもう一つの作業は、ブランドのイメージを強化することです。つまり、ブランドにおける「強み」を作るのです。

ブランドの「強み」を作るためには、まずはそのブランドの「強み」が誰に対して、どのような特徴によるものであるかを明確にしなくてはなりません。

このためには、「この商品は誰に売れるか」という商品からの発想(マーケティング)ではなく、「誰に買ってもらうか」という消費者視点からの発想(マーチャンダイジング)に転換する必要があります。

そして購入の対象となる人が決まれば、その人のニーズを探ります。

たとえば20代女性に買ってもらおうと考えるのであれば、その女性たちはどのような味や形を好むかを調べ、どのような場面で食べたいと思うかを明らかにし、それを満足する(その利用に見合う)商品を作ればいいということになります。

たとえば、あなたがレストランを経営していると仮定してください。あなたは若い女性向けに評判のよい料理を作りたいと悩んでいます。でも、多くの若い女性を満足させる料理を考えることは容易ではありません。

ところが、あなたの知り合いのAさんという若い女性が満足するような料理を作ることは、それほど難しくないかもしれません。日ごろの食生活を観察すれば、また直接本人かAさんの友達に聞けば、Aさんという一人の人の趣味や嗜好はある程度は把握できるからです。

果たしてAさんはあなたの料理に大満足します。すると、Aさんはそれからあまり日をあけずにあなたの店に、あなたの料理を食べに来てくれるはずです。しかも、Aさんはその友人を連れて、あなたの店に食べに来てくれるでしょう。

こうしてAさんという「ロイヤルカスタマー」(忠誠度の高い顧客)を得て、あなたの店は来店客数を増やすことに成功するのです。

顧客のロイヤルティ(忠誠度)を高めるためには、その商品を最も伝えたい(売りたい)相手を絞込み(ターゲティング化)、その人のニーズやウオンツ(要求)を満たすことです。この点では、「なるべくたくさんの人に露出し、認知させる」というマス・マーケティングとブランド戦略では根本的に違っています。

今回説明したように、「ブランドを作る」ためには、そのブランドの特色や強みを作ることが必要です。だから商品や作る人の姿勢に特色や強みがなければ、ブランドにはなり得ないのです。

逆に、そうした特色や強みが明確にあるのであれば、それを伝える(ブランド・コミュニケーション)ことができれば、立派なブランドになる可能性は大いにあるといえます。

                            ブランド総合研究所 代表取締役社長 田中 章雄
                            初出:「農業経営者」2005年9月号(農業技術通信社)

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