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■地域ブランド構築法

第11回:ブランド戦略は誰が行うのか

今回で「地域ブランド構築法」も最終回となります。これまで「ブランド構築の仕方」について、プレミアム(付加価値)、コミュニケーション(情報発信)、ロイヤルティ(顧客満足)の3つの観点から、具体的な戦略ポイントを紹介してきました。今回は、それらの戦略を行う際のマネジメント(運営と管理)についての具体的なポイントを紹介します。
(1)ブランド戦略の組織

ブランド戦略においてもっとも重要なのは、戦略を推進する組織作りです。ブランド戦略は生産者だけではなく、その地域の行政、観光、製造業(食品加工業など)、流通関係者などが協力し合って行うもの。したがって、ブランド戦略の組織とスタッフには、農作物だけにとらわれずに、その地域全体を管理・推進する視点が求められます。

ブランド戦略は地域全体に及ぶため、それらを統括するブランドオフィサー(最高責任者)は知事や市長などの首長、あるいは行政のトップが最適といえます。ブランド戦略の担当部署は、その直轄組織として位置します。ここには専任スタッフ数名と、それを統括する管理者(マネージャー)を配置し、実際のブランド戦略の企画・管理を担当します。

ブランドマネージャーの仕事はかなりの激務になります。よく、他の実務を担当している人が兼任で行うというケースも見られますが、兼任で勤まるほど甘い仕事ではありません。ブランドマネージャーの気力と行動力が、その地域ブランドの将来を、いやその地域全体の将来を左右することになりますから、他の仕事は手放して、ブランド戦略に本気・全力で取り組むべきです。

また、この仕事は地域全体を見渡せる広い視野と、県外への情報発信を行う必要がありますから、ブランドマネージャーには広報や渉外、宣伝などの業務の経験者が望ましいところです。ただし、それらの経験がない場合は、スタッフに経験のある者を任命し、サポートするのが良いでしょう。

(2)ブランドマスターの仕事

ブランドを構築するには品質を高め、その情報を発信することが必要です。そしてこの作業は実際の生産者や観光、流通などの各業界関係者が行いますから、その各部門がブランド戦略を考え、実行する必要があります。そこで、この部門別にそのブランド戦略を実施し、管理する「ブランドマスター」を配置します。

ブランドマスターはブランドマネージャーと綿密に連絡を取り、協力して各分野におけるブランド戦略を実行します。実際の生産者を指導し、具体的なアクションプランをたてて実行する管理者です。その分野を一番良く理解し、発言力と実行力を兼ね備えた人でなくてはなりません。

また分野ごとにブランドマスターを設置することになりますので、例えば農業、観光など5つの分野でブランド戦略を行うのであれば、ブランドマスターはそれぞれの分野に1名ずつ、計5名必要であることになります。

評価指標作り

ブランドマネージャーとブランド戦略の専任部署が取り組むべきなのは、消費者視点による評価指標の作成です。ブランドとは「消費者からの評価」だから、作付面積や売り上げなどの評価指標とは別に、「消費者からどのように評価されているか」という指標を作ることが重要なのです。例えば購入した人の満足度や、再購入意向など。あるいは一般消費者による認知度やイメージ、購入意欲などがあります。そしてこれらの指標が、毎年ちゃんと向上するかをチェックします。

仮に「購入した人の満足度」を評価指標とした場合、まずはその満足度の測定方法を考えます。商品にアンケートハガキを入れる、あるいは消費者を対象にしたサンプリング調査を行うなどの方法がありますが、手軽にやるのではなく、信頼性が高く、継続性のある手法を選びます。信頼性が乏しければ、ブランド戦略の成果が評価できないからです。インターネットや電話などを活用して、コストがかかり過ぎないように設計するのがポイントです。

次に「満足度」を構成する要因を考えます。農作物の場合は味、新鮮さ、傷、希少性、安全性などたくさんの要因があります。これらの要因の中には、満足度に影響の強いものもあれば、影響がほとんどないものもあります。要因ごとの影響の強さを測定し、影響の大きいものを探り出すことは、ブランド戦略の成功への近道です。

(3)アクションプランの作成

評価指標を決めたら、その評価を高めるためにどのようなアクション(行動)を実施するかを分野ごと、商品(作物)ごとに考えます。それを時間軸の上に、具体的な計画として落とし込んだのがアクションプランです。

例えば満足度に「新鮮さ」の影響度がかなり高かったとします。そこで購入した人が「新鮮である」と感じる割合を高めるための工夫を考えます。新鮮さを高めるにはパッケージや予冷、流通などのどこをどのように改善すればよいかを考え、それをいつまでに実現するかを計画するというわけです。

「コストに見合うか判断できないので、実行できない」という声が聞かれることがあります。しかし、評価指標への影響度などがあらかじめわかっていれば、このような不安も拭えることになり、アクションをスムーズに実行に移せることにつながります。

グランドデザインの作成

アクションプランが、実践的で短期的な計画であるのに対し、グランドデザインは長期的な視点に立った計画です。このグランドデザインがない場合は、戦略が目先の効果(例えば一時的な売り上げなど)や分野ごとの事情に左右されがちです。その結果、分野によってバラバラの方向になってブランド全体がぼやけてしまったり、時間とともに活動や効果が薄れてしまうことになりかねません。

ブランド戦略は取り組み始めても、すぐには効果は表れません。ブランド戦略は新商品開発や人材育成などと同様に「長期的な効果」を求める戦略であり、キャンペーンなどの販売戦略や経費削減など「短期的な効果」を求める戦略とは異なっているからです。だから、効果が出ないとあせらないでじっくり取り組むことができるためにも、グランドデザインは不可欠なのです。

ブランドのケア

そしてある程度ブランド構築が進み始めたら、ブランドの魅力を低下させないような管理(ケア)にも取り組まなければなりません。新しい魅力を生み出す一方で、ブランドの浪費や流出などによって魅力が薄れないように、常にブランドをケアすることを忘れないことです。

                            ブランド総合研究所 代表取締役社長 田中 章雄
                            初出:「農業経営者」2005年4月号(農業技術通信社)

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